真空注型

真空注型などの多様な少量生産工法で最適な手法をご提案

少量生産ならアークにお任せ

樹脂の少量生産となると切削加工が第一に思い浮かぶという方も多いのではないでしょうか。切削加工は少量でも対応できますが、ある程度の数になると加工単価が高くなってしまいコストが合わないなんてこともあります。

切削ではコストが合わないし、金型を作って射出成形…というほどのロットではない場合、樹脂製品の少量生産を得意としているアークでは「真空注型」をおすすめしています。真空注型は数個から数十個程度のロットに最適です。今回はそんな真空注型について詳しく解説していきます。

製品サンプル

真空注型は次のような製品の少量生産に最適です。似たような製品の少量生産を検討しているのであれば、最後まで本ページを読んでみてください。

一体加工が難しい形状

二色注型

車両バンパー

大型家電の外装部品

真空注型とは

真空注型は1980年頃に製法が確立された加工方法です。製法が確立されてから40年が経過しますが、未だに試作や小ロットの生産で利用され続けている手法となります。

真空注型はマスターモデルと言われる原型をもとにシリコンゴムで型を取り、真空中で樹脂の注型を行います。マスターモデルをもとに複製していくため、マスターモデルとなるものを光造形や切削加工で作成し、それをもとに型をとります。

型取りが完了すればメスで型を分割し、マスターモデルを取り出し、注型を行います。真空中で注型作業を行うため、型の隅々まで樹脂が流れ、気泡などが入り込みにくいのが特徴です。

成形品で使用される熱可塑性樹脂ではなく、二液性硬化樹脂を使用するのが一般的とされています。「ウレタン系樹脂」や「エポキシ系樹脂」などを主に使用します。

真空注型の特徴

真空注型では型にシリコンゴムを使う点が特徴です。一般的な金型となると、作成するために「金型の設計→切削加工→組み立て」といった多数の工程を踏む必要があるため、リードタイムが1ヶ月以上かかります。

その反面、真空注型であれば型取りの作業だけで済むため、短納期で作成ができ、大幅にリードタイプとイニシャルコストを削減できます。ただし、シリコンゴムの型は耐久性に劣るため15〜20個の注型で寿命を迎えます。寿命を超えるロットの場合は、型を複数作成する必要があります。

真空注型のメリット

真空注型のメリットは、

● 短納期対応が可能
● イニシャルコストが安い
● 複雑な形状でも製作できる
● 大型製品でも対応できる
● 着色できる
● 透明品も綺麗に製作できる

などがあげられます。

金型製作に比べてはるかに短納期・低イニシャルコストでの製造が可能です。真空注型は、展示会などのモックアップや複数個必要な試作品、少量生産などで特に活躍するでしょう。

また、真空注型はマスターモデルの形状を複製できるため、複雑な形状でも再現しやすいのが特徴です。細かな形状で切削加工では工数がかかりすぎるような製品であっても、真空注型なら簡単に再現できるため、フィギュアのように金型では分離が難しい形状の製品でも問題なく再現できるでしょう。型がシリコンゴムだからアンダーカットも抜くことができ外観デザインにより自由度を持たせることができます。複数設計していた部品も一体化させることで製品単価を抑え、工期も短縮することができるかもしれません。

車のバンパーや大型テレビ、冷蔵庫といった大型の外装部品などであっても、真空注型なら低コストで複製が可能です。大きすぎて切削や簡易金型ではコストがかかりすぎるという場合に真空注型は特にメリットを発揮します。

さらに真空注型の場合、色見本から指定色を選択できます。切削加工の場合、材料の色味は既製ブロック材料から選択する必要がありますが、真空注型では樹脂に着色することができるので色味をより広い範囲で選択できます。

ほかにも、アークは気泡が入りにくくする技術を持っており、透明度の高い製品を求める場合にも最適だと言えます。


少量生産でメリットを発揮する真空注型ですが、幾つか制約もございますのでほかの製造方法と使い分けるのがおすすめです。

● 型の寿命が短い (15〜20個)
● 単純な形状の場合コストメリットが出しにくい
● 材料のバリエーションが少ない
● 大きさにより寸法精度の維持が難しい

真空注型では型にシリコンゴムを利用するため、型の寿命が簡易金型と比較して短くなります。製品の形状にもよりますが、15~20個程度で型の寿命を迎えます。寿命を超えて製作を続けると、精度が低くなってしまったり、型が破損してしまったりする場合もあります。

また、再現性の高い真空注型ですが、単純すぎる形状の場合はコストメリットを出しにくい場合もありますのでシンプルな形状の場合は、切削加工をおすすめする場合もありますのでまずはご相談ください。

さらに、真空注型では二液性硬化樹脂を使用しますので「ABSライク」「PPライク」「アクリルライク」のような、あくまでも性質が似通った樹脂となります。そのため、主に試作品では形状確認や機能確認で用いられることが多いのですが、最近では少量生産品として真空注型の樹脂の特性をご理解頂き、事前にお客様と検証を行ってい量産品として使用されているケースもございますので是非一度ご相談ください。

ほかにも、真空注型は型がゴムであるため、複雑な形状の場合、型が歪んで寸法精度が落ちることもあります。特に製品に細い形状や板厚の薄い部分があると思ったような精度が出ない場合もあるため、精度が必要な時は技術者との入念な打ち合わせが必要です。

真空注型の材質

真空注型で使用できるものは、二液性硬化樹脂のウレタンやエポキシが主になります。その中でもよく利用されるものは、

● ABSライク
● PPライク
● アクリルライク
● ウレタンゴム
● シリコンゴム

などがあげられます。

ライクの名前がついている材料に関しては、あくまでも相当品となるので、本物のABSやPP材料を求められる場合もございます。そのような場合は切削加工や簡易金型を使った方法でご提案することもございます。

真空注型では、ウレタンゴムやシリコンゴムのような柔らかい材質でも注型が可能です。硬度指定も可能であるため、ゴム製品の試作にも真空注型は有効です。ゴムの試作で思ったような精度が出ない時にも是非ご相談ください。

真空注型の製作フロー

真空注型はどのようなフローで製作が進められるのか、順番に解説していきます。

①マスターモデルの作成
まずは原型となるマスターモデルを作成します。マスターモデルは光造形や切削で作成します。光造形の場合は3Dデータがあれば簡単に作成することができます。

②シリコンゴム型の作成
マスターモデルに材料の注入口となる湯口を取り付け、型枠の中にセッティングします。また、このとき型を分離する基準となるパーティングラインを決め、その部分にテープを貼り製品をきれいに分離できるように準備します。

マスターモデルを型枠にセットしたら、型材となるシリコンゴムを注入し、真空脱泡機で気泡を抜いてからシリコンゴムを硬化させます。ゴムが硬化したらパーティングラインに沿ってメスで型を分離し、マスターモデルを取り外してシリコンゴム型の完成です。

③真空中で材料の注型
シリコンゴム型をはめ合わせてから真空装置の中に入れ、樹脂材料を注入します。

注入が完了したら乾燥炉の中に入れ、適切な温度で材料を硬化させていきます。硬化する時間は樹脂によって異なりますが、おおよそ1~2時間程度です。

④製品の脱型~仕上げ
硬化が完了したら、型から製品を取り出します。

湯口やパーティングラインのバリを手作業で取り除き、製品の最終仕上げを行って完成です。

実績紹介

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