金属加工

金属加工の強み

アークでは樹脂加工だけでなく、金属加工も得意としています。1点だけ必要な試作品の加工から、数百個必要な少量生産までワンストップで行うことが可能です。本ページでは金属切削加工の特徴について紹介していきます。

加工製品サンプル

アークでは自動車部品、航空宇宙部品、医療機器、ロボット部品などの様々な加工実績があります。

金属切削加工とは

金属切削加工は、ブロックや棒状の金属材料を刃物で削り出していく加工方法を指します。製品の形状や削り方に合わせて、ドリルやエンドミル、フライスなどの工具を交換しながら、少しずつ削って製品の形に近づけていきます。

切削加工は工業製品の加工で幅広く利用されており、自動車部品、航空機部品、半導体装置、医療機器などを影で支えている存在です。

切削加工は古くから活用されている加工方法ですが、近年は機械の操作をプログラムで操作するマシニングセンタやNC旋盤といった工作機械を使用するのが主流になっています。プログラムを使用することで、人間が手作業で操作するよりも正確で効率の良い加工が可能です。手動操作の汎用フライスや汎用旋盤といった機械は、現在ではかなり少なくなっています。

金属切削の特徴

金属切削の大きな特徴は、出来上がった製品の精度と加工の万能さにあります。

金属の加工方法にはプレス加工や鍛造加工、板金加工など様々なものがありますが、金属切削加工はその中でも非常に高い精度を維持できるのが特徴です。

また、金属であれば大抵のものを加工できる万能さも備えています。硬い金属でも柔らかい金属でも、切削工具や加工条件を変えることで加工できるのが特徴です。そのため、同じ形状で違う材料の製品を作ってテストするのも切削加工では容易に実現できます。

切削加工できる金属の種類

切削加工できる金属には様々なものがあります。大きく分けると「鉄系」「ステンレス系」「アルミニウム系」「銅・真鍮系」「その他」に分けられます。

【鉄系】

鉄系の金属は、焼入れできるものと焼入れできないものに大別されます。同じ鉄系でも大きく硬度が変わり、加工性も全く異なるのが特徴です。炭素含有率が低く柔らかい「純鉄」、SS400やS10Cなどの「軟鋼」、S45CやSCMなどの「炭素鋼」、SKDやSKTなどの「合金工具鋼」、FC250やFCD600などの「鋳鉄」があげられますが、いずれも切削加工ができる金属となっています。

炭素鋼系や合金工具鋼系の材料は、加熱後に急冷することで硬度を高める焼入れ処理を行う場合があります。焼入れを行った後に切削するのは大変なので、切削加工の後に焼入れ処理を行うのが一般的です。場合によっては焼入れ処理後に切削加工を行うこともありますが、一般的ではありません。

また、鋳造で作られた鋳鉄系の材料も切削加工を施すことができます。自動車のエンジン部品などは大まかな形状を鋳造で加工して、精度が必要な部分だけを追加工するような場合もよくあります。ただし、白鋳鉄のような一部の鋳鉄はもろく割れやすく、切削加工で後加工するには向かないものもあるので注意が必要です。

【ステンレス系】

ステンレス系の材料は、鉄系の金属に比べて硬度が高く粘りがあり、熱も溜まりやすいため切削加工を施すには技術が問われます。削るのが難しいため「難削材」とも呼ばれます。過酷な条件のため工具寿命が短くなる傾向にあるのも特徴です。このような理由から、同じ形状であっても鉄系の材料に比べて、加工費が高くなる傾向にあります。

SUS304、SUS430などが一般的によく使われるステンレス材となっていますが、粘りが強く加工が難しいため、硫黄やリンなどを添加し切削性を高めたSUS303、SUS430Fなどが使用される場合もあります。これらの材料は切削性が高い反面、耐食性には劣ります。

【アルミニウム系】

アルミニウム系は種類が非常に多くなっていますが、切削加工がよく施されるものは大きく分けて次の6系統です。

● A1000番系:純度99%以上の純アルミニウム
● A2000番系:強度の高いジュラルミン系、耐食性が低い
● A5000番系:最も一般的なマグネシウムを添加したアルミニウム合金、バランスに優れる
● A6000番系:シリコン・マグネシウムを添加した強度の高いアルミニウム合金
● A7000番系:最も強度の高いアルミニウム合金、A7075は超々ジュラルミンと呼ばれる
● ADC系:ダイキャスト用のアルミニウム合金

アルミニウムは全般的に切削性がよくなっていますが、切削中に工具にアルミニウムが溶着する危険性があります。溶着が発生すると加工精度が落ち、美観も悪くなってしまうため、溶着が発生しないように切り屑の排出を工夫することが大切です。

【銅・真鍮系】

銅や銅合金である真鍮は、切削性が高い反面、柔らかく展延性が高いためバリが発生しやすく、切り屑で傷がつきやすい金属となっています。切削加工自体はそれほど難しい金属ではありませんが、きれいに仕上げるには技術が問われます。

【その他】

切削加工では、チタンやインコネルなどの金属も加工することができます。ただし、チタンやインコネルなどは硬度が非常に高く、切削加工が非常に難しい金属となっていますのでまずはご相談ください。

その他、ダイキャスト用の亜鉛材料であるZDC2やマグネシウムなども切削加工が可能です。

金属切削の種類

ブロック材料から削り出す場合はマシニングセンタ、棒状の材料から削り出す場合はNC旋盤と呼ばれる工作機械を使用して加工するのが一般的です。

形状によってはマシニングセンタとNC旋盤を組み合わせて加工する場合もあります。3次元的な形状を削り出す場合は、より複雑な動きができる4軸・5軸加工機のような機械を使う場合も近年は多くなってきています。

【マシニングセンタ】

マシニングセンタはブロック状の材料をテーブルに固定し、ドリルやエンドミルなどの回転工具を使って材料を削っていく工作機械です。NCプログラムを使用して自動で動かすタイプのものをマシニングセンタと呼び、手動操作で動かすタイプのものを汎用フライスと呼びます。現在ではマシニングセンタが大半を占めています。

マシニングセンタは自動で工具を交換する機能が備わっているので、最適な工具に交換しながら全自動で加工を進めることが可能です。

【NC旋盤】

NC旋盤は棒状の材料をチャックに取り付け、材料を回転させながらバイトと呼ばれる工具を突き当てて加工する工作機械です。工具は爪のような形状をしており、回転させないのが特徴です。材料を回転させて加工するため、加工後の形状が必ず円柱状になります。シャフトやフランジのような円柱状の形状の製品にはNC旋盤を使用します。

NCプログラムで自動で動作できる旋盤をNC旋盤といい、手動操作で動かすタイプを汎用旋盤と呼びます。NC旋盤もマシニングセンタと同じように工具を交換する機能があり、加工する場所に応じて最適な工具で加工できるようになっています。

【4軸加工機・5軸加工機】

4軸加工機・5軸加工機は、水平・垂直・奥行きの3方向にテーブルを動かせるマシニングセンタに、さらに回転軸がついた加工機を指します。

回転軸の付いている場所や方向は機械によってまちまちですが、回転軸がつくことで工具の向きの自由度が格段にアップします。これにより3次元的な形状や、マシニングセンタでは複数回に分けて加工していたものを1回の運転で完結できます。

加工に非常に手間がかかっていたタービンのブレードなども、これらの多軸加工機の登場により簡単に加工ができるようになっています。

金属切削のメリット

切削加工のメリットには

● 加工精度が高い
● 複雑な形状でも加工できる
● 加工できる材料が多い
● 小ロット生産が得意

などがあげられます。

【加工精度が高い】

マシニングセンタやNC旋盤などの切削機械は、非常に高い精度を出すことができます。マシニングセンタでは穴寸法、NC旋盤では外形寸法の精度に優れています。1/1000mm台の精度を必要とする場合、材料の熱膨張が大きく影響することもあるため、微細な精度を求める場合は温度管理された場所で加工を行います。

【複雑な形状でも加工できる】

切削加工では、形状に合わせて最適な切削工具を使って加工を施します。そのため、形状の自由度が非常に高く、あらゆる形状を再現することが可能です。一方で、苦手とする形状もあるため注意が必要です。苦手な形状については次の章で詳しく解説します。

また、鋳造などの加工方法で作成した加工品に追加工を施すことも可能です。面の精度を高めたり、穴精度を高めたりしたい場合は、切削加工で追加工すれば嵌合も問題なく行える精度に仕上がります。

【加工できる材料が多い】

これまで紹介してきたように、切削加工では様々な種類の金属を加工できます。切削工具を適切なものに交換し、適切な加工条件で加工することで、違う種類の金属であっても1台の切削機械で加工できるのです。

ただし、業者によって得意としている材質が異なります。アルミ合金のような柔らかい金属の切削を得意としている業者、チタンやインコネルのような難削材を得意としている業者など、得意としている金属の種類は業者によって異なりますので、最適な先に加工を依頼することで加工費用の安さとクオリティを両立できます。

【小ロット生産が得意】

切削加工は小ロットの生産を得意としています。切削加工では汎用の切削工具をいくつか使用して加工するため、専用の金型を作成する必要がありません。ブロック状の材料と切削工具が数本あれば加工できてしまうため、ロットは1個であっても加工が可能です。1個だけ必要という試作加工に切削加工が適しているのはもちろん、小ロットでの量産も得意としています。


メリットが多く便利な切削加工ですが、

● 切削工具が届かない場所は加工できない
● 削る場所が多いと価格が高くなる
● 大量生産には劣る

などのデメリットもあります。

【切削工具が届かない場所は加工できない】

切削工具が届かない場所は切削加工できません。ペットボトルのような形状の内側は、切削工具が届かず、うまく加工できないため注意が必要です。

また、回転工具を使用しているので、四角い穴をあけるのも苦手としています。角の部分はRになってしまうので、どうしても角が必要な場合は逃し加工を施すか、放電加工を施す必要があります。放電加工を施す場合は、価格がかなり高くなってしまうことも頭に入れておきましょう。

その他にも、細くて深い溝などは、切削工具の径が小さくなってしまい、繊細な加工になってしまいます。加工ができても価格が高くなってしまう場合があるため、注意が必要です。

【削る場所が多いと価格が高くなる】

切削加工ではブロック状の材料から削り出していく必要があるため、コップのような形状を作成しようとすると、どうしても削る量が多くなってしまいます。削る量が多いと加工時間が長くなるため、どうしても加工費用が高くなります。削る部位をできるだけ少なくすることが加工費用を節約するポイントだと言えるでしょう。

【大量生産には劣る】

切削加工は金型が不要でイニシャルコストに優れている分、金型を使用する加工方法に比べて加工時間が長くなるため、量産性は劣ります。そのため、中ロット以上の量産加工では金型を作成し、小ロットの量産加工では切削加工を利用するなどの使い分けが必要です。

Q&A

アークによく寄せられる切削加工についての質問をQ&Aの形式で紹介します。

Q:ADC12やZDC2などのダイキャスト材料を1個だけ加工して欲しいのですが対応可能ですか?
A:ダイキャスト材料をブロック状に加工して切削加工を施す形で対応可能です。

Q:他社で製作したダイキャスト品の追加工は対応可能ですか?
A:他社で製作された部品にも追加工を施すことが可能です。

Q:アンダーカット形状の加工はできますか?
A:アークでは4軸加工機・5軸加工機を擁していますので対応可能です。

Q:アルマイトやメッキ、塗装などの二次加工には対応していますか?
A:アークでは表面処理などの二次加工もワンストップでの対応が可能です。

実績紹介

HDS_ロボットーアームハンド_注型_切削_塗装3
ヒューマノイドハンドの外装を製作:注型、樹脂切削、塗装
株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ様の「2023年国際ロボット展」への出展にあたり、デモ機を製作いたしました。
医療用ロボットアーム
サージカルロボット模したモックアップのデザイン・設計・製造
日本トムソン株式会社様の展示会向けショーモデルのデザイン・設計・製造を担当致しました。
次世代エネルギーとして注目される水素燃料電池をARRKがサポート
帝人株式会社様が開発した、燃料電池ユニットと圧力容器ユニットの、コンセプトモデルを担当させていただきました。
マイクロ波成形:材料の知見や特殊な工法を活かした取り組み
三井化学株式会社様のそざいの魅力ラボ「MOLp®」のサンプル製作に携わらせていただきました。
3Dモデリングと注型:在宅介護における「4つの負担」の解決を実現
株式会社FUJI様の移乗サポートロボットの外装デザインと試作を担当。樹脂カバーは注型で試作しました。
これまでにないカタチ:インテリア性を備えた ロボット空気清浄機「空美」
株式会社日立製作所 研究開発グループ様ご考案の空気清浄機。アークでは外装デザイン、設計、試作を手掛けました。
デザイン、設計、試作でお客様をサポート。大胆な色とデザインが採用に
帝人エンジニアリング株式会社様が開発した水素ボンベケースと、クレードルのコンセプトモデルを担当させていただきました。
少量生産事例:ハイエンド測定機「S lynx」の外装部品を注型工法にて製作
SENSOFAR社はスペインの計測機器と医療機器のリーディングカンパニーで、15年以上にわたりサポートしてきました。
パナソニック株式会社様_100周年ニューモビリティ
展示用コミューター:お客様の想いに応え、期待を超える「モノづくり」
パナソニック株式会社様から、創業100周年記念イベントに出展するEVコミューターのモデル製造依頼をいただきました。
上品なデザインと、充実の機能を持たせた設計。試作で実現した重厚感のある質感があらゆる空間にマッチします。
株式会社日立製作所 研究開発グループ様の空気清浄機にUV機能を搭載。見落としがちな机や椅子の裏側もUVを照射しながら除菌します。小回りの利く小型サイズで狭い場所も無理なく走行。
リニューアルデザインから設計・試作・量産化までトータルサポート:パワーアシストスーツ「J-PAS LUMBUS」
ジェイテクト様が電動パワーステアリングで培った制御技術を活かし、人の動きと調和可能な機構を加えて、様々な作業への適応が可能になりました。軽量化やユニークな機構が生み出す課題にお客様とアイデアを共有しながら試行錯誤を繰り返し、実現に至りました。
量産を見据えたスマートロボティクスの外装カバーデザイン:多関節ロボット「SmartWing」のショー向けモデルをデザイン・制作。
株式会社FUJI様は垂直多関節ロボットの開発にあたり、スマートなフォルムで他社とは一線を画したデザインをご希望。アークは有機的なカーブでエッジを効かせたラインを特徴とし、フルカバーせず構造体もデザインの一部にと提案しました。
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