困難を乗り越えた同期が考える
「現在位置」と
就活生へのエール
2006年春新卒入社の【同期座談会】
Member
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H.Y
設計職
東京本社勤務(初任地:大阪)
北海道出身 -
K.A
生産職
名古屋支社勤務(初任地:名古屋)
埼玉県出身 -
Y.H
設計職
東京本社勤務(初任地:東京)
東京都出身
今回のメンバーは、入社して3年後に「リーマンショック」を経験しながらも、それを乗り越えてきた精鋭たち。
「コロナ禍」において、これまでのキャリアを振り返りつつ、「現在位置」を語ります。
Talk Theme 01.
新入社員時代の経験について
聞かせてください
ひとりでOSKに配属されたって、どんな研修を受けられたのですか?
実はOSKでの研修が良く、100名規模の事業所で1日2人ずつの先輩を回って、その人がどんな仕事をしているのかを教わりました。
途中から仕事の話もなくなって、プライベートな話もしてもらえたから、コミュニケーションも取れて、研修後相談しやすくなったのでよかったと思っています。
それ、良いですね。正直TOKは人数が多いこともあり社員の方同士でも業務上かかわりが無いと、コミュニケーションを全然取らない方も多いので、そういう研修は正直羨ましいです。名古屋支社(以降「NGY」とする)ではどうでしたか?
NGYでの研修は、先輩がつきっきりで4人の新人を教えるスタイルでした。
CATIAが導入されたばかりのタイミングで、教育用のテキストもありませんでした。その状況下でCATIAの技能試験を1カ月後に受け、合格することができ、車輛系の客先での業務遂行ができました。
社会人として未熟な中、やるべきことを理解して自分でやってきたわけですよね?
当時3DCADを操作できる人が少なく、それだけで仕事ができると思われていました。
客先での業務にあたり1カ月間のCATIA研修を受けることで、なんとか業務を進める事ができたと思います。
2008年のリーマンショックの影響からNGYに戻り、民生の業務を担当しました。それが今も続いています。
私は年単位で客先での業務を行った経験がないので、新鮮だなと思ってお話を聞いていました。
何年も客先で業務をするというのは興味深いです。H.Yさんは何年ぐらい客先での業務をされていたのでしょうか?
3年ぐらいだね。モデル設計の仕事では客先での業務はあまりないけれど、量産設計の仕事を学ぶことができることもあって、勉強をかねて客先での業務に従事しました。CATIAはそれまでに10年ぐらい操作してからの客先ということもあったので、CAD操作上の問題はなかったです。
Talk Theme 02.
客先での業務で勤務したからこそ
会得したことは?
自分自身、入社1年目から客先で業務したこともあり、客先での業務ノウハウを身につけてそのノウハウを活用できたと思います。民生と車輛系の違いも理解できたのは非常に大きいところだと思います。今でも役立っています。
具体的に民生と車輛系との客先の違いは、どういった違いがあるの?
民生の家電などは、その機種の丸ごと全体を理解しなければできないですね。
初期の検討から、デザイン、設計、金型のうちだしまで関わるため、製品への思い入れが強くなります。電気系も、モーターも機構も分っていないとうまくできないのが家電だと思います。
一方、車輛系だと部品の数は、家電に比べて何倍もあるため、自分の担当のユニット設計を行うところがあり、そこが大きな違いだと思いますね。
車輛系はユニット開発のスペシャリストになることが多いですね。
私が業務を行った客先は、車のバンパーやアクセサリー部品を作る会社でした。デザイナーやクレイモデラーもいて、デザイン(スケッチ)から、量産まで行っている会社でした。開発中に出た課題に対して関係者と整合し、対策を立てて報告し、いかに進めるのかということをやっていました。
民生の客先での業務は、OA機器の紙送りの評価から始まりました。紙送りの端を測る仕事から始まって、見ているだけだと仕方ないなと思ったので、短期間でしたが提案をしたことで一台まるごと設計を依頼されるに至りました。
客先の人に限らず、質問したら「他の人に聴いて」という人もいるのではないですか?
分からないことがあると、徐々に自分でも調べていくようになったところはあります。
客先の業務において自分のスキルが不足している部分は、一緒に業務されていた先輩社員や客先の社員の方に恥を忍んで質問していくしかないと思って質問していました。
どちらかというと知っていて当たり前と思われていたところはありますが、「聴く」までに、自分自身でも事前に調べていくようにしていましたし、聴いた時には、調べていた内容で良かったのだという確証が得られました。
事前に調べる習慣が身についたことは良かったと思います。
Talk Theme 03.
活躍する設計者の共通点と、
社内で繰り広げられるDRでの攻防とは
答えが一つじゃないよということを理解している人の方が圧倒的に能力は高いと思います。
選択肢をいくつも持っている方が強いですよ。選択肢を複数持っていれば、他の選択肢は?と聞かれた際にも、他にこれとこれもあるけれど、こういう理由でこれを選んだという話もできます。
その時点で十分練られた、考えた形跡もわかるので、その方が良いと思います。優秀な方だと感じられるし、実際、業務にも活かせます。選択肢として誰かに提示し決めてもらうのでなく、決める過程に複数の選択肢を盛り込むことが大事です。
エンジニアには、裏付けだとか理由が必要とよく言われます。そのために複数の選択肢のメリットとデメリットを準備し、意志決定をします。
選択肢は裏付けを求められた際に提示するために、自分の中に持っておけば良くて、上司に設計方針を説明するときは自分で検証した結果を踏まえ自分の提案を伝えます。説明と選択の時間を上司に取らせない工夫でもあります。
それをやっていくのがDR(デザインレビュー)という場だと思います。こうやって決めましたよ、というのを複数人で複数回やるので、より良いものを創り上げることができます。この場で複数の選択肢の説明ができないと、検証ができていないとみなされます。
DRの場では、自分に持っていない引き出しを提示されるのはありがたいと思います。
Projectの初期段階で、自分の思う設計仕様と方向性をプレゼンしたら、こういう考え方もあるのでは?と指摘されると、正直思考停止になったりもしますが、検証不足が分かることもあり良いと思います。他の方の意見が聴けるという場は、非常に貴重だとは思います。
確かに自分が考えていなかった意見が来た時の、何とも言えない空気感、その時は否定的な気持ちにもなりますが、冷静になるとそうだよなと肯定していくところはあります。
自分がすでに検証して、「これはない」と思っていた案でも、DRで他の人に出されて、こういう見方をすればメリットありますよね、と言われてその案が急に浮上し、みんなが同調したときは、やるせないこともあります。
実際には、要求事項から想定されるあらゆるリスクをもとに、設計仕様を考えてDRに臨みます。設計書も後半になればなるほど、変えづらいところもあり、初期段階で事前検証をしっかり行っておくことが重要になります。
Projectの後半でワイワイガヤガヤのDRがあると問題が発生しているという意味で、良くない状態です。手戻りがあったりすると確かににぎわいますが、静かに進んでいくDRが良い状態と言えますね。
お三方がどんな経験をされてこられたのか、その一端をお話しいただけたかと思います。三者三様ではありながら、
客先での業務では「質問力」が大事であること、社内DRでも求められる「答えは一つではない」という活躍する設計者としての共通点など、
非常に興味深い内容で設計者を目指す学生さんの参考になると思います。
東京本社(以降「TOK」とする)の集合研修のあと、富士吉田工場(以降「FYF」とする)を経由して、大阪本社(以降「OSK」とする)に配属されたのを覚えています。FYF配属の同期とともに参加した研修では「ノミ研ぎ」や光造形品の研磨と工場見学を含めて受けたこと覚えています。その後OSKに一人配属されました。